2006-01-01から1年間の記事一覧

石持浅海『顔のない敵』(光文社カッパ・ノベルス)レビュー

顔のない敵 (カッパ・ノベルス)作者: 石持浅海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/08/22メディア: 新書 クリック: 6回この商品を含むブログ (85件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39 石…

内橋克人『悪夢のサイクル』(文藝春秋)レビュー

悪夢のサイクル―ネオリベラリズム循環作者: 内橋克人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/10メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 25回この商品を含むブログ (17件) を見る “保守”と“教養”をブリッジさせたい文春としては、やっぱり立花隆や内橋克人とは…

松尾由美『安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎』(東京創元社)レビュー

(創元クライム・クラブ)" title="オランダ水牛の謎 (創元クライム・クラブ)">オランダ水牛の謎 (創元クライム・クラブ)作者: 松尾由美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/10/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (21件) を見る ミ…

「予言」する探偵小説4-Ⅶ

今回の文章も東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています 「アンチ・フェミニスト」を自称する内田樹の、“フェミニズム批評”批評ともいうべき『女は何を欲望するか?』のなかで、ショシャナ・フェルマン『女が読むとき 女が書くとき』が、それが示した…

鯨統一郎『親鸞の不在証明』(祥伝社ノン・ノベル)レビュー

親鸞の不在証明 (ノン・ノベル)作者: 鯨統一郎出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2006/09/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (18件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション7 トータ…

門井慶喜『天才たちの値段』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ 究極のところ科学鑑定には、絶対ににせものだという結論は出せても、絶対にほんものだという結論は出せないんです。(「論点はフェルメール」P229より) 天才たちの値段作者: 門井慶喜出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/09メディア:…

「予言」する探偵小説4-Ⅵ

今回の文章も東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています 笠井潔が指摘するように、たる石神の“像”は、あたかも多重人格の様相を呈するように、分裂している。先に、個々の批評戦略の故だと記したが、しかし石神の“像”がナラティヴな地平で、どこか把捉…

巽昌章『論理の蜘蛛の巣の中で』(講談社)レビュー

論理の蜘蛛の巣の中で作者: 巽昌章出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/10/13メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (24件) を見る “蜘蛛の巣”というのは、バルトの『テクストの快楽』の中で、(という)が解体する場面で出てくる比喩。「自分…

島田荘司『光る鶴』(光文社文庫)レビュー

光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)作者: 島田荘司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る ミステリアス6 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル34 「吉敷竹…

朱川湊人『水銀虫』(集英社)レビュー

水銀虫作者: 朱川湊人出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/09/26メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (30件) を見る 因果応報譚をベースに、ソツなく怪異を紡いでいく。たとえば、福澤徹三などの現在のホラー作家と比べると、予定調和っぽ…

「予言」する探偵小説4-Ⅴ

今回の文章も東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています とは、に対する“差異”である。私たちは、本来は、の「“選択”の痕跡をのみ把捉することができるだけ」である。しかし、の目の前には、具象的な「他者」がいる。そうすると、本来のは、直面してい…

藤岡真『白菊』(創元推理文庫)レビュー

本日のエピグラフ (前略)むろんそうした事実を知りながら、自分との共犯関係を楽しんでいる。(中略)いや、思いたかった。(P40より) 白菊 (創元推理文庫)作者: 藤岡真出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/03メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含…

坂木司『シンデレラ・ティース』(光文社)レビュー

シンデレラ・ティース作者: 坂木司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/09/21メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 19回この商品を含むブログ (51件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション7 トータ…

天城一(日下三蔵・編)『天城一傑作集3 宿命は待つことができる』(日本評論社)レビュー

本日のエピグラフ 御一新でサムライがロクを召し上げられて俄か商人になったと同じで、マッカーサー維新で俺が追放だ。(中略)因果応報というのかな(「宿命は待つことができる」P148より) 宿命は待つことができる (天城一傑作集 (3))作者: 天城一,日下三…

「予言」する探偵小説4-Ⅳ

今回の文章も東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています 「可能世界を含めたすべての世界のクラス」である「宇宙」。この「宇宙」とは、の固有名による直示によって、この「同一性を区画するような境界」を指示されてしまうような存在である。この「宇…

大崎梢『晩夏に捧ぐ』(東京創元社)レビュー

(ミステリ・フロンティア)" title="晩夏に捧ぐ (ミステリ・フロンティア)">晩夏に捧ぐ (ミステリ・フロンティア)作者: 大崎梢出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/09/30メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (90件) を見る ミステリア…

橋本健二『階級社会』(講談社)レビュー

階級社会 (講談社選書メチエ)作者: 橋本健二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/09メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 57回この商品を含むブログ (36件) を見る 「格差社会」問題における、マルクス主義サイドからの応答だけれども、…

竹本健治『ウロボロスの純正音律』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ そこには、今も云う通り、百二百の探偵小説を組み立てるに足る程の夥しい素材が転がっているのだ。読者は、(中略)読者自身の探偵小説を構成しながら、その幻影を楽しむという、風変わりな遊戯を試みる気になれないであろうか。(「序」江戸…

木堂椎『りはめより100倍恐ろしい』(角川書店)レビュー

りはめより100倍恐ろしい作者: 木堂椎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/02/22メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 136回この商品を含むブログ (51件) を見る 何よりもタイトルがナイス。そして、結びの文章の脱力さ加減も。内藤朝雄の提唱する「中間…

樋口有介『月への梯子』(文藝春秋)レビュー

月への梯子作者: 樋口有介出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (22件) を見る 今度の新作は、いやがおうにも、某超有名作を想起せざるをえないが、その時点で、作者の掌中に取り込まれることになる。このミス隠し…

飯田譲治・梓河人『盗作 上・下』(講談社)レビュー

盗作(上)作者: 飯田譲治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/01/28メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (24件) を見る 『アナン』の問題意識を受け継いだ力作。芸術的・精神的超越性の布置が、創(制)作者から創(制)作“物”へと移される。――…

引き続き2006ミステリ年度上半期作品のレビューを転載します。♪読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んでまわってまわってまわってまわるぅ〜〜

麻見和史『ヴェサリウスの柩』(東京創元社)レビュー

ヴェサリウスの柩作者: 麻見和史出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/09/30メディア: 単行本 クリック: 32回この商品を含むブログ (23件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル36 山田正紀…

道尾秀介『シャドウ』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「(前略)『愛する』の反意語は、何だか知っているか?」/(中略)/「無関心、だ」(P87より) シャドウ (ミステリ・フロンティア)作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/09/30メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 38回…

山本弘『アイの物語』(角川書店)レビュー

アイの物語作者: 山本弘,李夏紀出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/05/31メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 138回この商品を含むブログ (121件) を見る “アンドロイド”は「人間」のであるか――というのが、基底的テーマになる…………はず。なんだよね。“…

有川浩『図書館内乱』(メディアワークス)レビュー

図書館内乱作者: 有川浩出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2006/09/11メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 138回この商品を含むブログ (425件) を見る “国民”でも“市民”でもない、のお子たちのための抵抗権育成型教養小説です。「戦う」っていうの…

芦辺拓『探偵と怪人のいるホテル』(実業之日本社)レビュー

本日のエピグラフ 「……いかがです、ご自分の姿をフィルムで見た感じは?」(「屋根裏の乱歩者」P267より) 探偵と怪人のいるホテル (幻想ミステリ作品集)作者: 芦辺拓出版社/メーカー: 有楽出版社発売日: 2006/08/30メディア: 単行本 クリック: 3回この商…

田中啓文『ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺2』(集英社)レビュー

ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺〈2〉 (笑酔亭梅寿謎解噺 (2))作者: 田中啓文出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 33回この商品を含むブログ (36件) を見る ミステリアス6 アクロバット7 サスペンス6 アレゴリ…

青井夏海『星降る楽園でおやすみ』(中央公論新社)レビュー

星降る楽園でおやすみ作者: 青井夏海出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2006/08メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見る ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37 “認可…

『アインシュタイン・ゲーム』(講談社ノベルズ)レビュー

アインシュタイン・ゲーム (講談社ノベルス)作者: 佐飛通俊出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/08/08メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (12件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 ト…